田沼 靖一
幻冬舎 ( 2010-07 )
ISBN: 9784344981812
■感想
生物が生きていく上での様々な戦略は面白い。「性」で多様性を求めたり「群」で耐久性を高めたり・・他にも生物がとっている戦略を学びたくて購入通読。
読んでいると、生き残るための手段としての「死」がどのように生物の中に散りばめられているのかを解説してくれている。アポトーシスという細胞の死が生物にとって与える影響や、非再生細胞にとっての計画された死が何を意味するのか、病気と戦うためにアポトーシスがどのような役割果たしているのか、進化、多様性を導くためのキーとしてのアポトーシスなど、生物を考える上で避けて通れない計画された死というものを説明してくれている。非常に面白く読めました。またゲノム創薬という技術が既存の創薬とどう違うのか、どう可能性があるのかも説明してくれている。コンピュータのシュミレーションのちからを用いて新たに薬を作成するという手法を用いることで確率論からの脱却は人間の新たな可能性を伝えてくれている。また、現在の人間社会に蔓延している各種の病気についてもアポトーシスの角度から分析してくれていて、その病の本質を伝えてくれている感がある。計画された死が進化にとって必須なこと、生体を維持するために必須なことなど面白く学べることが多々記載されていました。
生命だけにとらわれず、群体として生きる組織からされたシステムで計画された終焉は必要になるはずだと感じる
■思うこと
計画された終焉はどのスコープでも存在しうる問題だと思う。生体のなかの細胞の計画された死はアポトーシス、人間社会のなかの計画された死は戦争?自殺?
終焉をシステム化してこそ生まれるものがある。
■ブログ書く際に参考させていただいたサイト
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■ランキング

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ヒトはどうして死ぬのか
細胞の自殺
アポトーシス
通常とは異なる死に方
核の収縮、細胞の断片化
自死装置の発動
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壊死など細胞の崩壊
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死からみる生物学
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生体制御
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アポビオーシス
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アポトーシス
回数券
50~60
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死の科学
DNAの複製と修復
人間の細胞は修復能力が高い
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ねずみ
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災害・襲撃への備え
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■進化の抑制?
■終末の設計
アポトーシス
がん細胞
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アクセル
がん抑制遺伝子
ブレーキ
再生系の細胞群から生まれる
アポトーシス異常が原因の可能性も
がん治療へのアプローチ
外科的除去
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積極的な死を起こしてもらう
がん幹細胞
親玉がいるのでは?
非常に強く簡単には死なない
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アルツハイマー
非再生細胞の異状死
アポビオーシスが異常発生
AIDS
ヘルパーT細胞の異常現象
免疫システムが正常に動かなくなる
HIVウィルス
体の中にとどまり続ける
アポトーシスをブロックしている
ヘルパーT細胞へアポトーシスを異常促進
糖尿病
グルコース濃度を調整できなくなる
→血糖値の高い状態
ゲノム創薬
細胞の構造から特定の機能を阻害する薬を作る
確率論からの化合物探しから、決定論的な新薬作成へ
個別化医療
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死の科学から見えてくるもの
性とともに死が洗え荒れた
減数分裂の必要性
性によって遺伝子がシャッフル
常に新しい遺伝子構造をもつ
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→不良品を排除する仕組み
個体の死
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永遠の命
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META
出版社
幻冬舎新書
著者
田沼靖一
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